展覧会の概要

会期:2012年10月20日(土)21日(日)27日(土)28日(日)
会場:南千住の商店街及び施設 7会場

2010年7月から約2年間にわたり活動した『町の記憶PROJECT』により市民がつくった町の記憶の作品10,000枚を南千住の7カ所の会場に集め、それぞれ内容の異なる展示を行った。

   

各会場の展示


南千住で隅田川にかかる橋の一つ「千住大橋」は、1594年に隅田川で最初にかかった橋である。それ以後「大橋」と呼ばれ、江戸への唯一の入口として、また奥州・水戸街道といった北への出発口として重要な橋であった。
旧大黒湯の見事なタイル絵のモチーフとなった「金閣寺」と「日光」、それは男湯と女湯でそれぞれ壁で隔たれてはいるが、つながっているもの。こちらと向こうをつなぐものとして『大橋』を表現した。


半島のように隅田川に囲まれた南千住汐入地区。かつてこの土地は、入り組んだ路地に木造家屋がひしめき合う下町らしい町並みと原っぱが広がる土地でした。1987年に着工された白鬚西地区再開発事業も2010年3月完了。現在高層住宅が林立し、約2万人が暮らす新しい町として生まれ変わりました。
かつての汐入の記憶を現在の汐入小学校の子どもたちが、フロッタージュで写しとった作品でトンネルをつくりました。いつもの廊下が色とりどりの記憶の作品に彩られた異空間の通路となり、汐入の記憶の中を通り抜けるような感覚が味わえる。


明治38年から大正6年まで、南千住第二中学校の敷地には、当時日本最大の出力をもつ火力発電所があった。この発電所は、度重なる隅田川の洪水、その後さらに関東大震災によって2本の煙突が損壊したため、「おばけ煙突」の愛称で知られる4本煙突の火力発電所が隅田川の対岸西新井橋のたもとに立てられたという経緯がある。
全校生徒と一緒に写しとった作品を6mの円筒形の周囲に貼り付け、自分たちの学校の場所にあった、かつての町の煙突の風景を再現。


現在の町名南千住になる前、ここは小塚原と呼ばれ、江戸の三大刑場(他に鈴ケ森、大和田)の一つが江戸の東の端にあたるこの場所でした。
そして線路を隔てた延命寺は20万人とも言われている多くの刑死者の菩提を弔うために建立されました。
この南千住の土地としての記憶、それがこの「小塚原」という地名に由来する風景なのではないでしょうか。その風景を生徒たちが紙に写しとった作品で再現します。


かつて南千住は、千住宿を中心としてマチ場として開け、発展してきましが、水運や安価な土地を立地条件として近代工業発祥の地として日本の歴史を刻んだマチでもあります。
南千住は隅田川による水運の便がよく、ガスの原料となる石炭の集荷に好都合であったため、明治26年東京瓦斯千住工場が現在の南千住3丁目に開設されました。当時のタンクの風景は、映画や絵画の中にも数多く登場し、日々の暮らしの営みをそのまま表し、街の息吹そのものとして映されたのでした。


南千住を流れる隅田川は、半島のようにかつての汐入町を囲みながら大きくカーブして流れている。この隅田川の水運を利用して、常磐炭鉱から石炭を運び、汐入水門から貨物駅を経由して都内各所に輸送された。
現在の隅田川は、古くは荒川と呼ばれていたが、洪水を防ぐために放水路が建設されたことでこちらが現在「荒川」と呼ばれるようになった。隅田川と南千住、数々の町の記憶に寄り添いながら、川筋は現在も変わらずゆるやかに流れている。


路面電車が開始された明治44年(1911年)から100年たった現在、南千住も大きく変わりましたが、三ノ輪橋停車場を始発として、庶民のくらしに寄り添いながら現在もなお運行を続けています。100年前と変わらないその人々のくらしとぬくもりが詰まった車輛を市民の手で触れ、なでるようにその記憶を紙に写し取った作品を昨年に引き続き車内に展示、『10000枚の記憶号』として運行しました。


メイン会場(旧大黒湯)の展示


  

作家はフロッタージュという美術の古典技法を駆使したオリジナルの技法で作品づくりを続けており、日常の営みの痕跡をまちや店舗や家屋といった場所で、常に携帯している色鉛筆150色を使って、その場で作品をつくっている。それは作家自らが「LIFE works」と名付け、現在も活動を続けているものである。
今回、南千住の記憶を作家自らが制作した『LIFE works』の作品70点を廃業した旧銭湯・大黒湯に展示した。


     




10000枚の町の記憶をかたちに

これまでプロジェクトとして行ってきた数々のワークショップは、南千住というひとつの町の記憶をあぶり出す活動であった。現在の南千住という土地は、脈々と引き継がれてきた過去や歴史といった記憶のうえにあり、すべてはつながっている。
太古の歴史にもさかのぼるような川の流れ、そしてその水運を利用した鉄道、その立地から発達した工場の数々、そしてその川と街道が江戸の境にあたる場所の特性など南千住という町の記憶をかたちにして展示する。

作品展示会場マップ

8月26日現在で確定している場所を示しています。


より大きな地図で 南千住10000枚の記憶作品会場 を表示

美術作家・酒百宏一による作品展示

プロジェクトを進めている美術作家・酒百宏一の南千住で制作された作品を紹介する展示。
作家はフロッタージュという美術の古典技法を駆使したオリジナルの技法で作品づくりを続けており、日常の営みの痕跡を常に携帯している色鉛筆150色を使って、その場で作品をつくっている。それは作家自らが「LIFE works」と名付け、現在も活動を続けているものである。
本展では、南千住の記憶を作家自らが制作した『LIFE works』の作品も併せて展示する。